【序章】 お嬢様と烏

4/4
前へ
/34ページ
次へ
ざわざわ、ざわざわ。 森たちが落ち着かない。 「どうやら、珍しいお客様が来たようだね」 僕は小さく微笑み、木から降りた。 「昼寝してたのに、邪魔されちゃったな。でも、なんだか面白いことが起きそうだ」 早く帰って、あいつに伝えよう。 人間がやって来たって。 灰色の世界に用は無いというのに、時はピリオドを忘れたかの如く、無秩序に世界を染めて行く。 灰色の世界に赤が宿れば、それはただの狂気になるだけさ。灰色の世界に白が宿れば、それはただの無になるだけさ。 今日も僕らは灰色の世界を歩いていく。目的地はそう、ピリオドの向こう。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加