【第一章】 サムライとお嬢様

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漆黒の美しい翼を持ち、黒真珠のような瞳を持つ烏(カラス)だ。このような美しい烏もそうそうお目にかかれないだろう。 ちなみに、この烏は何故か喋れる。初めは気味が悪く斬ろうかと思ったが、案外気立てのよい烏で、何かと役に立っている。 「烏、お前も食べるか?」 「あ、欲しいかも。……ってミカゼ!僕の名前は六斗(リクト)って言ってるじゃないか」 「あぁ、そうだったな。スマン忘れていた」 「……一週間も一緒にいるんだから、忘れないで欲しいや」 リクトは機嫌を損ねたようで目線を合わせない。全く、繊細な烏だ。 俺が木の実を砕いた物を機嫌取りにやろうかと思った時、リクトは「そういえば…」と呟いた。 「どうした?」 リクトの機嫌は既に直っているらしい。なんだか雰囲気が重く感じた。俺は木の実を横に置き、リクトを見つめた。 「あのさ、ミカゼ。大変なことが起きたんだ」 「……なにが起きた?」 「この森が燃えて無くなるより大変なことが起きたんだよ」 「………まどろっこしい!さっさと言えば良いだろう!」 ガサガサ。 ――――気配? 俺は森方面の茂みを凝視した。さっきまでは確実にいなかった何かがそこにいる。 「あ、来たよ」
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