氷の心

8/19
2881人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
「準備は出来たかい?」 「あ、パパ。準備万端よ。出席しないわけにはいかないから、ちょっとエルに協力してもらっちゃったけど…」 「………」 あたしはママを横目で睨んだ。 軽蔑の意もたっっっぷり込めて。 「だいぶムスッとしてるけど…」 「恨まれても仕方ないわね…。でもエル、悪いけどママは意志を変える気はないわ。さ、行きましょう」 「…………」 三人揃って正装。 今から何が行われるか十分予想がつく。 「大変お待たせ致しました。ようやく準備が出来ましたわ」 ママが入ってゆく部屋は、あたしは滅多に足を踏み入れない。 一際豪華な客間だからだ。 ママとパパに続いて部屋に入ると、長テーブルの一方に三人の先客がいた。 思わず身構える。 「この度は遠路遙々ようこそお越しくださいました。  私はゴウ。妻のレイ。そして娘のエルです」 ママが綺麗な御辞儀をした。あたしもそっと頭を下げる。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!