そして…

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私は気付けば中学校に通い始めていた。 両親は私を普通の中学校に入学させてくれた。 ……小学校を卒業する少し前の夜にお母さんとお父さんが私のことを話し合っているのを偶然に何度か聞いてしまったことがあった…。 話の内容は,いつも決まって私が中学に行くことに関しての話。 私が初めに聞いたとき,お父さんは障害を持つ子供達が行く中学校に通わせると言っていた。 …私は泣いた…… 気付かれないように声を押し殺して泣いた…。 それは私が障害者の中学校に行くことになるんだと思ったから泣いたんじゃない。 私はまだ小学生だったけれど,お父さんがどれだけ迷ってその答えを出したのだろうかと考えると自然と涙が止まらなかったんだ…。 だって…その日のお父さんの声は震えていたんだ…。 きっと泣いてたんだ…。 私はその時,見えないはずのこの目に初めて,お父さんが泣いてる姿が見えた気がしたんだ…。
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