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幸い、俺の荷物は少なかった。いわゆる、三種の神器?
「携帯、財布、煙草っ・・・と。」
晴子に目を向ける。
『あたしはもういつでも行けるよ』
そんな目をしていた。
スッ・・・
立ち上がった瞬間。
ガシッ!!
「⁉⁉⁉」
何かに腕をつかまれた。
「あれぇ~?秋人クンどっか行くのぉ?これからがおもしろいんじゃん☆」
タイミング悪すぎ。女の子の声に反応し、晴子は恨めしそうにこっちを見ている。
「い、いやトイレに行きたいんだ。」
「そっか☆んじゃあ~麻奈も行く☆」
なんでやねん。
「これから、王様ゲームやるんだから、ここに・・・」
「ほ~ら。早くっ☆」
麻奈は俺の腕を掴み、部屋を後にした。
「まだ名前教えてなかったよネ。私は園田麻奈。よろしくね☆」
トイレ途中に自己紹介するなよ・・・
「あ、ああ。俺は佐山秋人・・・」
急に口を塞がれた。最初はなにがなんだかわからなかった。
「ん、んん。」
それは、麻奈の唇だった。小さいけど柔らかい女の子の唇。
「んん、んっ、んぅ」
激しかった。何も考えられないくらいの。
「ん~。ん・・・はっ」
やっと解放された。まだ、唇の感触が残ってる。
「な、なにを・・・」
「いや~、お酒入るとキス魔になっちゃうんだよねぇ~。あ、でも頭ははっきりしてるよ☆」
「そ、そうじゃなくて!なんで俺と・・・」
ゾクッ
近くに視線を感じた。格闘技経験の無い素人でもわかるくらいの気配。
・・・殺気というやつだ。
一体、どこから・・・
「!!!」
今までに見せなかった、鬼のような顔。壁に顔を半分隠し、俺の方を見ている。壁に手を掛け、その手には力が入ってるのがすぐわかる。
最初、誰だかわからなかった。
「晴子・・・?」
それは、晴子だった。口が微かに動いている。
「え・・・なに・・・?」
俺は、目を疑った。
「コ ロ シ テ ヤ ル ・・・」
そう、つぶやくと晴子は姿を消した。
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