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「死んじゃいけない理由を教えてくれ」
こう言えば大人っていう偽善心の塊は必ず黙るものだった。
滑稽で面白かった。
事実、死にたかった。
つまらない世の中に埋もれて
生きている事と死んでいる事の違いもわからなかった。
「生きているってどういう事?」
こう聞いても大人は、たじろぐ。
みんなつまらないコピーだった。
……
ただ一人「彼」を除いて
僕の質問に初めて答えた男がいた。
しかも正確に。
しかも的確に。
正面から初めて向き合ってくれた人だった。
……
――あの瞬間は、今でも鮮明に覚えている。
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