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「いやいやいや、俺まだ捕まりたくないから」
「その点に関して抜かりはないわよ」
火燐はシオンに投げキスをしながら言う。
それを聞いたシオンは抜かりしかない様な気がしてくる。
「玲奈のおじさんが疑いを晴らしてくれるんだって!!」
瑞希は満面の笑みを浮かべながら、シオンに補足説明をしてくれる。
シオンにとって疑いが晴れるのは確かに有り難い。
だがそれで友人の親に迷惑を掛けるのが嫌なのだ。
(友達と家族……か)
シオンは遠い目をしながら昔を思い出し始める。
シオンは両親と妹の4人で毎日を過ごしていた。
その時のシオンには何ら特別なものは何もなかった。
普通に産まれて、普通に生きて、普通に結婚して、普通に家族を作って、普通に死んでいくと思っていたのだ。
そう……――7歳まではそう信じて疑わなかった。
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