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片桐の去った後に、片桐の若い衆が恭二に向かって喋り出す。
「餓鬼コラ。明日から口の聞き方に気を付けろよ?」
だが、恭二は黙ったまま男を睨み付けた。
「なんだぁ?気に入らない眼をしやがってコラ。」
ドカ!バキッ!
ボコッ!ボフッ!
男は恭二をその場で袋叩きにする。
だが恭二はボコボコに殴られても、男を睨み付けた眼を止めなかった。
「ちっ。薄気味悪い餓鬼だぜ。良いか?明日、口の聞き方が直って無かったら、今日より酷いからな?」
その言葉を言うなり若い衆も去った…
『うるせぇんだよ。』
『黙って金を稼ぐ土俵を用意しろや…』
恭二は、誰にも聞こえない様な、小さな声で喋る。
そして、バックからタオルを出して血を拭いたのだった。
(生きるんだ)
(金を稼ぐ為に…)
(オレは…生き抜くんだ)
(この闇の世界で…)
恭二は、改めて裏社会で生きる事の決意を深めた。
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