満月の見える部屋

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「ここが街か…」 思わず声に出してみる。 夜という事もあって、人通りはさほど多くない。 車のディーゼルエンジンの音が、なんだか心地よかった。 (あれは…) ふと、目に入ったのは、先程木の下で出会った少女だった。 声を掛けようかと迷ったが、向こうも此方に気付き、近寄ってきた。 「やはり来てくれたんですね、良い街でしょう?モンマリルって言うんですよ。」 モンマリル 良い名前だ そう思った。 「泊まる所はお決まりですか?もしよろしければ、さっき言った場所、お教えしますよ?」 ニッコリと微笑み、彼女はそう言ってくれた。 「ありがとう、じゃあ、そうして貰おうかな。」 無愛想にそう答えた。 「いいえ、でもその代わり、私の買い物に付き合って下さいね?パン屋さんに行くんですよ。」 (まぁ、宿の手配をしてくれるんだ、それくらいは構わないだろう。) そう思い、了解した。 「ありがとうございます、パン屋さんは此方にあります、ついてきてくださいね。」 そう言うと彼女は、俺の手をとり、どんどん進んで行く。 (パン屋、少し興味があるな。) そう思い、道案内を彼女に任せ、パン屋へと向かって行った。
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