第二話・特訓❗スイハンアーム‼

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その部屋の中央には、一本の鉄柱が生えていた。 大人一人で手が回るか回らないかくらいの太さのそれは、少々の傷があるだけでとても大の大人が何度もハンマーを叩きつけたようには見えない。 「うぉぉぉっ!!」 ゴガンッ! 気合とともに身の丈ほどもあるハンマーを叩きつけたのは、腰を抜かすだけの新人ヒーロー、赤星・烈斗である。 「くぁっ」 打ち所が悪かったのか、柄を伝って響いた衝撃に呻き声を上げ、烈斗はハンマーを取り落とした。 痺れる両手を握ったり閉じたりして感覚を取り戻し、ハンマーを拾い上げようと手を伸ばす。 「やっておるようだネ」 声に振り向くが、開いた扉が見えるだけで誰もいない。 「……わざとかネ?」 視線を下げると、こぢんまりした老人がいた。腰が曲がっているせいか、横から見ると小文字のSに見える。 白く長い髭と眉毛で鼻以外の顔が見えないが、どうやら気に触ったらしい。 「いや、そんなつもりは……」 「冗談ネ」 特に笑いもせず言うと、よっこいせ、とハンマーを拾い上げる。 じーーぃっと見つめていたかと思うと、くるくると回して角度を変え、またじーーぃっと見つめる。 とりあえず自分も見つめてみる烈斗。 何度目かの回転中、ハンマーはいきなり速度を上げビュンビュンと風を切りはじめた。 烈斗が目で追えなくなった直後、ぴたりと鼻先に硬いものが触れた。 ハンマーの柄である。 「返すネ」 目を丸くするばかりで動けない烈斗の前で、老人はカッカッと高らかに笑った。
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