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私の足は力を無くして、そのまま私は座り込んでしまった。
「菜津子……」
私の声はか細く空気中にはきだされる。
「許して……許して……」
菜津子の腕にすがりつく。
菜津子が私を見下ろす。
「……何言ってるの?」
菜津子は私を睨み付ける。
「あなたが全て悪いのよ。こうなるのは当たり前でしょう?」
「でも……でも……」
私の声は次第に泣き声へと変わる。涙が目からこぼれて頬をつたる。
そんな私を菜津子は汚いものを見るような目付きでじっと見る。
「やだやだ。すぐ泣く。なんであんたと親友だったのか不思議だわ」
そう言って菜津子は私の手を払いのけると、視線を階段へとおろす。
首に巻き付いている紐は長い。でも、この階段の一番下までの余裕がないのは明らかだった。
それでも、一番下まで行かなければ、菜津子はこれを終わりにはしてくれない。
菜津子はそっと一枚の紙を取り出した。それはプリクラで、楽しそうに笑う私と浩樹が写っていた。
そう、これが全ての始まりだった。
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