5804人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はしがみついていた手を放し、三成から少し離れる。
しかし、三成に腕を強く引かれ、俺は再びスッポリと三成の胸に収まった。
[三]『……奏旅…強がるな。俺は絶対に死んだりしない。お前を残し、一人になどしない。お前の不安や恐怖など、俺が全て打ち払ってやる。』
俺を安心させる為か、三成は力強く、優しく言葉を与えてくれる。
でも、知ってるよ?
「死なない」なんてあり得ない
「絶対」なんて存在しない
だから、俺はその言葉で安心なんかしないんだよ?
………ゴメンな?
だから、俺は敢えて言うんだ
[奏]『甘やかすな。俺が弱くなる。これ以上、カッコ悪ィのはゴメンだ。』
言いながら、俺は三成の胸を軽く押す。
[三]『フッ…お前は、本当に可愛い気が無いな。』
[奏]『生憎、そのテの言葉とは、お友達じゃねぇんでな。』
[三]『それが「奏旅」らしさか。そういうトコロが好きなのかもな。』
[奏]『そりゃ、どうも。それより、とっとと先に進むぞ。ワンコ達に追い付かれるちまう。ここから動いて無かったらバカ源太にバカにされそうだ。』
[三]『「ワンコ達」?』
[奏]『太助と源太。アイツ等、犬っぽいだろ?』
俺の言葉に、三成は苦笑いを浮かべる。
[三]『確かに犬のようだな。では、バカ源太にバカにされる前に行くか。』
[奏]『ああッ!!』
俺達は再び馬を走らせる。
ワンコ達に追い付かれぬよう。
……少しでも…先へ進む為に
最初のコメントを投稿しよう!