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俺の住んでいる所は京都に近く、電車に乗ればあっという間だ。 観光がてら奈良にも行こう。 清水寺とかにも行きてぇなぁ。 あの舞台から下を見た時の、足が竦む感じが堪らない。 別に変な趣味とか無ェよ? 緊張感?っていうのか? それが心地いいんだ。 旅館も見つけねぇとな。 二泊三日位出来る荷物は持ってきている。 電車に揺られながら期待に胸を膨らませていると、京都に到着した。 壬生寺に屯所跡、血天井や、色んな寺を見て回り、日が沈む頃に清水寺に着いた。 [奏]『うへぇっ…たっけぇッ!!いや、壮観だねぇ』   などと独り言を言っていると、後ろから声が聞こえてきた。 ……観光客か? まぁ良いやと思っていると、声が近くなってきたのに気付く。 [観]『フレームに入り切らないなぁ。皆、もっと寄ってー!!うーん…無理かぁ。』 とか言いながら、どんどん下がって来るカメラマン。 舞台側にカメラマン。 奥に密集する被写体。 「俺には関係ない」とかって考えてる時って大抵巻き込まれるよね。 後方確認しないで下がって来たカメラマンが後ろ向きのまま盛大にスっ転んだ。 そして、ボケっとしていた俺に突っ込んで来る。 腹の辺りでバキっという嫌な音が聞こえた。 [奏]『あれっ?』 何でこんな簡単に壊れるんだ? なんて考えていると俺は足場の無い空間に投げ出された。 そして奈落へと墜ちて行く。 すっげぇ浮遊感。 気持ち悪ッ!! 舞台の上でさっきのカメラマンが何か叫んでいる…が、既に何も聞こえない。
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