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[三]『ム……仕方がない。付いて来い。』
ちょと顔が赤くなった三成。
……コイツ…時々、良く分かんねぇよな。
気にしても仕方ないので、取り敢えず歩き出す。
秀吉の所へ向う途中、俺は空を見上げた。
……なぁんか、空が重いなぁ。
空気も湿ってるし。
……一雨…来るかな…?
そんな事を考えていると、秀吉の所に着いた。
[三]『秀吉様。参りました。』
[秀]『……来たか…ん?奏旅も一緒か。』
やけに深刻な顔してるな…。
[奏]『俺……居ちゃマズい?』
[秀]『いや、奏旅の此度の働きは聞き及んでいる。随分頑張ってくれた様じゃな。』
[奏]『いや、大した事はしてねぇし。』
[秀]『そんな事はなかろう?正則も吉継もエライ誉めとった。』
大した事してねぇよなぁ…?
[三]『ところで秀吉様。私に用とは?』
[秀]『これから話す事は他言無用だ。奏旅、ワシはお前の事も信用しておる。だから、この場に居る事を許したのじゃ。分かるな?』
俺は、しっかりと秀吉を見据えて頷く。
[秀]『安国寺恵瓊<アンコクジ エケイ>より、密書が届いた。本能寺にて、信長様が光秀の謀反に遭いお亡くなりになられた。』
信長が死んだ!?
……早すぎる!!
水攻めを開始してから、まだ数日しか経っていない。
……参ったなぁ。
どんだけ歴史がズレてんだ?
「事実」は起こる。
しかし「時間」が伴わない。
このままだと、あっという間に「関ケ原」まで行っちまいそうだ。
まるで歴史が時間を焦ってるみてぇ。
考え込む俺をよそに、秀吉は話しを続ける。
[秀]『とにかく、ワシは高松城の攻略を急ぐ。敗北条件を緩和し、急ぎ、この戦を終らせるつもりじゃ。』
……城主の、船上での切腹か。
あんまり見たくねぇな。
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