煙草

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「……」  咲先輩は何時になく虚ろな瞳をしていた。  窓の外で校庭を走る生徒ばかり義務のように目で追っている。  何時もより唇が赤いような気がする。  先輩は、きっとそんな自分には気が付いていない。  声を掛けようか思案していると、  思いが通じたように先輩が亜莉、と私の名を呼んだ。  重々しい、ゆっくりとした口調。
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