人魚の泪

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『…ほう‥クックッ。記憶と声を失ったか…。あの娘には…薬が強すぎた様だ。…もうすぐ…この…手の中に……。』 あたしは、何かも失った。 記憶も……声も…… 「君…記憶がないの?」 フワリ…フワリ… 「声も…出ないんだね…?」 何もできないあたしは… ただただ…… 名前を知らない……彼方を見つめるだけ…… 「…辛かっただろうに…。」 名前も知らない……人の声なのに…… こんなに…落ち着くのは…何故……? 「君…どうして…泣いてるの?」 あたしは……涙を…流していた。 「泣かないで……そんな悲しい…涙を…落とさないで……。」 彼方って……優しいのね……。 名前も……覚えてない…声も……出ない……あたしのために…… 泪を……落として……くれるなんて……。 TO BE CONTINUE
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