ハイヒール☆マニア

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何だって 女はヒールを履くのだろう。 やたらに尖ったつま先の、 脚がつりそうな程のハイヒールを 足が痛いといいながら。 靴擦れが痛いといいながら。 以前、聞いた言葉で 『素敵な靴は素敵な場所に貴方を運んでくれる』 …と言うのがあった。 それが本当なら 私など、とっくに結婚式場か ハネムーンにでもいる筈だが 何の手違いか 未だに相手すらいない。   それでも、 ヒールには抗えない魅力がある。 色とりどりの美しいデザイン。 ローヒールでは味わえない、 女性らしいシルエット。 そして、どんな大根脚も、 脚だけのサリーちゃんも、 ハイヒールを履けば即座に グラマラスに見える。 それが、マハリクマハリタの魔法や勘違いや幻覚だとしても、 気分はマリリン・モンロー いつも、 ちょこっと無理をして 値段が高くても 素敵な靴を手に入れる。 でも、それでいい。 ずっと憧れていた。  子供の頃に見た ハイヒールでしなやかに歩く 大人の女。   彼女も 無理をしていたのかもしれない。 本当は 足が痛かったのかもしれない。 それでも、私は憧れた。 だから、 今日もハイヒールを履く。 ヒールを履いて背伸びする。   いつか見た、しなやかな大人になれるように。 素敵な場所に行けるように。
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