第19話『意外な展開』

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「ハッハッハー、あれは正攻法じゃ打てないな~」 かなり急ピッチに肩を作りながら絵美が呟く。 (まさかもう一段“変わる”なんて予想もしていなかったな~。こりゃ、早め早めに動かないと) これまでの野球の常識が通用しない相手。 絵美は危機感を募らせながらも喜んでいた。 『明らかに向こうが規格外と分かる中で、こちらの規格外っぷりも証明できる』 その為にはかなり危険な橋を渡らなければならない。 「こんなことなら、もっと早く準備していれば良かったな~」 今更後悔しても遅い。 試合前のプランでは自分は、早くても五回から登板のはずなのだから。 「さてと、こんなものかな~?」 本当ならもう一イニング投げ込みたかったが、試合前にかなり入念にアップしたから大丈夫だろう。 三球目も直球。 美子はこれも空振りで三球三振。 「……」 瀬名は真琴の投球を食い入るように見ていた。 球威、球速、ノビ。 どれも瀬名がこれまで対戦してきたサウスポーの限界を上回っている。 だからだろう。 瀬名が気にかかっているのは。 (頼もしい投球だけどそれだけだ。ペース配分もあったもんじゃない) この投球はいつまでもつのか。 投手事情が決して充実しているとは言い難い中橋学園。 真琴には最低六回を投げきってもらいたいのだが、 「この試合、終盤戦が鍵だ」
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