第19話『意外な展開』

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真琴自身にも何が起こっているのか理解できていない。 そもそも、テンションが限界を越えた時に投じるトルネードすら理解していないのだ。 ただ、今の感情の全てを白球に乗せて投じるだけ。 全力投球。 それが真琴の真骨頂。 後先のことなんか考えていられない。 今は、 「――全力で、ぶん投げる!!」 二球目。 投じたのは真ん中高めという甘めのコース。 普通に考えれば打ってくださいと言わんばかりの球だ。 打者が、打てれば。 女子野球の常識を覆す豪速球。 それが打てないと分かっていても、美子は振ってしまう。 スイングとほぼ同時にキャッチャーミットから轟音が響く。 美子にとっては屈辱だ。 まるで、『あなたは振り遅れている』と宣言されているようなものだ。 何故なら、ボールがストライクゾーンを通過してからバットを振っているからだ。 (球速が増していることを想定してスイングを早くしているのに――まだ遅い!?) 常識外の選手だとは聞いていた。知っていたが、 「規格外すぎる……」
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