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ガラス越しに手と手を重ね合わせ、僕は視線を手の方から杏子の顔の方へ向けると杏子は泣いていた。
杏子は
「何も出来なくてゴメンね。杏子が治してあげれなくてゴメンね」
と僕に言った。
杏子はずっと我慢してきたのだろう。
グッと抑えていた気持ちが込み上げて溢れ出したのだ。
僕は
「杏子はずっとオレを1番近くで支えてくれているよ。だから謝らなくてもいいんだよ。オレがありがとうって言いたいよ」
と言うと杏子はしゃがみ込み号泣した。
相当辛かったのだろう。
杏子の気持ちを絶対に無駄にはしない!と僕は心に誓った。
杏子は泣き止むと
「ありがとう和哉。明日からも頑張ろうね」
と言って、ニコッと笑った。
杏子が帰った後、僕は布団に潜り込み杏子の涙を思い出して泣いた。
ゴメン杏子…
翌日、また検査をする事になった。
検査と言えば、あの絶叫必至の髄液を抜く事だ。
だが僕の気持ちを前向きになっていた。
これを乗り越えないと杏子の気持ちに応えられない。
という思いが僕の背中を押したのだ。
杏子に見守られながら、僕は検査を受けた。
杏子は
「頑張るんやに」
と言って励ましてくれた。僕は
「うん」
と言って検査に望んだ。
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