序章

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だが。仲村が怪しいという印象は変わらない。……もしかして、俺の牛乳早飲みの座を奪おうとでも? 出来る範囲で動向を伺うとするか。 2時間目終了後の休み時間。 このとき、俺はいつもトイレへ行く。 ……あれ?これじゃ観察できないじゃん! とか思いつつトイレへと向かう。 生理現象だからね、仕方ない。 ……? 仲村だ。俺の少し後ろを歩いている。 もしかして! そう思いトイレへ急ぐ! 仲村はなおもついてくる。 確定だな。 「よお仲村。お前もトイレか?」 チャックを下ろしながら仲村の方を向く。 「ああ。いつもこの時間には来る」 金曜は会わなかったな。来る時間がずれたのか。 「奇遇だな、俺もだ」 また共通点。これは本格的に俺の座が……。 チャックを上げ、ボタンを押す。 その行動を少し遅れて仲村もする。 「待て、日野戒貴」 手を洗い終え、教室へ戻ろうとする俺に、仲村は声を掛ける。 「何?」 「ブロードに、よろしくな」 「へ?」 仲村はその言葉だけを残し、俺を通り越して歩いていく。 ブロード? ……どういうことだ?全く理解不能。
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