序章

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いつもは担任の先生が来たからと言って、皆席に着くのは数分経ってからだ。 しかし今日は転入生が来るからか全員席についていた。 「さぁ、入って!」 先生の合図でもとから開いていた出入り口から、制服を着た見慣れない男子生徒が入ってきた。 あの子イケメンじゃない? うわアイツカッケー! など、周りの生徒のコソコソ話す声が耳に入る。確かに今目の前にいる男は一般的にハンサムとか格好いい部類。男である俺からしても十分に分かった。 そして担任が黒板に彼の名前を書き終えると彼に自己紹介を促す。 「仲村 戒斗(ナカムラ カイト)です。宜しくお願いします」 有りがちなシンプルな挨拶をし、お辞儀をする。 俺の席は最前列真ん中の2列の左側。 彼との距離はかなり近い。 だからか、仲村が顔を上げるとき目があった。いや単に目があっただけではない。 睨まれた。一瞬。 仲村はあらかじめ用意されていた席に案内され席に座った。 朝のホームルームが終わり、休み時間に突入。途端に仲村のところに人だかりが出来る。 転入生恒例の質問攻めというとこだ。 「アイツモテるだろうなあ~!なかなかのイケメンじゃないか?」 亮がニヤついた顔で俺の方を向く。実に憎たらしい。
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