序章

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「な、何だよ」 「そらあよ、戒貴の好きな奴がとられるかも、ってことだぜ」 「あ?今好きな人いねーっての」 実際そうだ。今好きな人はいない。しかし、亮が言おうとしていることは分かってる。今まで散々ネタにされたからな。 「そうか。去年振られたんだったなあ。あっはっは」 「言うなああ!」 困るんだよ!トラウマなんだ!幼馴染みなんだぜ!?しかも家隣って…どこの恋愛シミュレーションだよ!! 「どっちにしたってよ、アイツ…なんか見たことある気がするんだよ」 仲村を見ながらそう言った亮を見てみると、何か不思議な感じがした。 見たことある気がする、とか言ってる癖に懐かしい旧友に会ったみたいな嬉しそうな顔してやがる…他中の知り合いか? 「亮、仲村のこと知ってんのか?」 思いきって亮に訊ねてみた。だが返事は見当違いのもので、 「ん?知らねーよあんな奴。今日初めてみたわ」 怪訝に思ったが俺が勝手な解釈をしたせいなので聞き返すのを止めた。
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