序章

6/34
前へ
/35ページ
次へ
授業はいつもとこれといった変化もなく、仲村の紹介がちらっと挟まれたりする程度で休み時間はきっちり質問責め。 標準的な転入生。 そんなこんなで給食時間。 今週は当番ではないので亮とアホみたいな会話をして準備時間の暇を潰していく。 「いただきます!」 若干大きめの声でクラスメイトEが言った。 とほぼ同時に俺の黄金の右腕は牛乳パックを捉えた。 「出た!戒貴のいっき飲み!」 そう囃し立てるのはもちろん亮。ほぼ毎日やっている。アホらしい。 パックの上部を開封し、斜めに持つ。丁度開け口がひし形になるように、だ。 そして、飲む。ひし形がポイントだ。 そのときだった。違和感を感じたのは。 「うお!仲村も飲むの早い!」 後ろで聞こえたクラスメイトJのセリフ。 そんな馬鹿な! などと思ったが既に遅しというかなんというか。 奴は俺より先に飲み干しやがった。 「戒貴、ライバル出現、だな」 予想外の新キャラに、俺は戸惑いを隠せなかった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加