序章

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18日。 朝の登校の時間。 俺と亮は乗るバスが同じだ。 なのでかなり早い段階でバカ話をするというわけだ。 「戒貴、おす!」 俺がバスに入ってくるなり迷惑にならない程度の声で挨拶をする。 「ウィ~ス」 いつものように返事をする。 その後はずっと世間話をして、学校までの道程を進んでいった。 下駄箱で上履きに履き替え、階段を上り、廊下を俺等の教室まで歩いていく。 廊下で集まって語り合っていたり、教室の出入口に固まっていたり。 後者は非常に迷惑だ。 そんな、どこの学校でもある光景。 爽やかな朝を、俺は心地よく満喫していた。 ……仲村を見るまでは。 教室に入りチラッと、見回すと仲村は既に席に着いていた。 「そういえばさ、金曜仲村と帰ったよな?」 鞄を置き、隣の亮に近付いて、金曜日の放課後に見た光景を思い出しながら亮に問う。 「あ…、ああ。帰ったぜ。それがどうかしたか?」 ? ちょっと反応が変だったような…気のせいか? 「変な様子なかった?」 「なんだよ変な様子って。何もないって」 何も…ないのか。 いや、そもそも何があるっていうんだ?改めて考えてみると実に馬鹿らしい。 真面目に考えた俺が馬鹿だった。
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