追跡!初めての理解者

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期待。 それはとても重いモノ。 期待。 それはとても無責任なモノ。 昔から背が高かった雲平。 小学校では大して気にするモノではなかったが、中学生になった時、雲平の身長は187cmだった。 そんな雲平を、部活動に駆け回る中学で放っておかれる筈はなかった。 バスケ部、バレー部、水泳、野球、サッカー、陸上…… 様々な部の先輩達が雲平を争うように勧誘していた。 しかし―― 『は?また休み?』 昔から体の弱かった雲平。 そんな体は厳しい運動に耐えられる程、丈夫には出来てなかった。 『また病気か? いいよいいよ、帰って』 それでも雲平なりに頑張った。 出来る限り部活に出て、なんとか練習についていこうと我慢した。 『やる気ないの? 邪魔だから帰れよ』 それでも、規定の練習量すらギリギリの雲平への罵声、不満、陰口は止まない。 『どうせ仮病だろ? さっさと辞めろよな』 普通の人だったなら、たとえまともな運動が出来なくともここまでの罵りは受けなかったろう。 『見え透いた嘘ついてんじゃねえよ』 しかし雲平は『期待』されていた。『期待』をかける周りはその人物を過大し、崇高し、妄想する。 『うわ……使えねぇ』 異常な妄想は肥大し、その分、値しなかった結果はそのまま『失望』につながる。 『お前いらないよ』 求めたのは他人なのに。 理想を描いたのは他人なのに。 『いらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらない』 ボクはボクだ。 何も変わってない。 何も言ってない。 なのに、他人は勝手にボクに『失望』した。勝手に『期待』し、勝手に『失望』した。 放っておいてくれ。 『期待』するな。『妄想』するな。『描く』な。『求める』な。 ボクはボクなのに……。
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