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「な、なんで!?」
「どうして!?」
双子は驚きの気持ちが溢れ出て、つい大声で雲平に詰め寄った。
雲平は詰め寄ってくる双子に双子とは違う意味で驚いて、椅子に座ったまま身をひく。
「どうしてって……」
そしてまた、次の雲平の発言に双子は驚きに驚きを重ねる。
「だって、全然違うでしょう?」
絶句。双子は絶句した。
これ以上は無い。
「ち…違うって、どこが?」
言葉が出ない優に代わって、葉も震えた声で尋ねる。
そんな相手の雲平も同様に驚いているんだから、何とも不思議な光景だ。
「いやどこって……
顔も声も、全部……。ゴホッ」
息のつまるような不思議な間。
互いが互いを見つめて、また別々の理由で驚いた顔をしている。
「……」
「……」
「……」
クラスメートは談笑。
外はいい天気。
この空間は、沈黙。
そんな教室の扉がガラリと扉が開けられた。
「席着いて~」
「あの……」
「え?」
一番に我に返った雲平は双子に呼びかける。
「席に着かないの?」
「え?……あ、ああ」
葉は未だ信じられないといった顔で曖昧に返事をし、硬直している優を連れて席に戻った。
その日一日、双子が授業に集中出来なかったのは言うまでもない。
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