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「果穂ちゃん!」
「…ちゃん付けキモい」
「果穂!!」
こいつに、『苗字で呼ぶ』という選択肢はないのか。
ていうか、何かかなり笑顔なんですけど。
そしてかなり距離近いんですけど。
…それが嫌だと感じない私は、失恋のショックで麻痺しているらしい。
「はぁ…だから何?」
「似てるんだよ!」
「誰が?」
「果穂が!リリーに!!」
「…はぁ?」
リリー?
誰だそれ。
恋人か?ていうか、外国人?
「リリーは、俺が昔飼ってた茶色の猫でさ…」
「猫かよ!!」
「そう……そのリリーに、すっげー似てるんだよ!」
…何だそれ。
私が猫に似ているなんて、初耳だ。
体はかたいし、目はたれ目だし。
多少猫背だけど、それでもどこが似ているのかわからない。
「髪の色も…超そっくり」
「…染めなおしてやる」
「駄目!そのままがいい!絶対いい!!」
目を輝かせて言う野木に、私は不覚にも笑ってしまった。
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