~ミスター猫好き~

4/8
前へ
/26ページ
次へ
「果穂ちゃん!」 「…ちゃん付けキモい」 「果穂!!」 こいつに、『苗字で呼ぶ』という選択肢はないのか。 ていうか、何かかなり笑顔なんですけど。 そしてかなり距離近いんですけど。 …それが嫌だと感じない私は、失恋のショックで麻痺しているらしい。 「はぁ…だから何?」 「似てるんだよ!」 「誰が?」 「果穂が!リリーに!!」 「…はぁ?」 リリー? 誰だそれ。 恋人か?ていうか、外国人? 「リリーは、俺が昔飼ってた茶色の猫でさ…」 「猫かよ!!」 「そう……そのリリーに、すっげー似てるんだよ!」 …何だそれ。 私が猫に似ているなんて、初耳だ。 体はかたいし、目はたれ目だし。 多少猫背だけど、それでもどこが似ているのかわからない。 「髪の色も…超そっくり」 「…染めなおしてやる」 「駄目!そのままがいい!絶対いい!!」 目を輝かせて言う野木に、私は不覚にも笑ってしまった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加