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戸惑っている私の目を見て、野木は突然言い出した。(こいつの発言はいつも突然だけどね)
「…俺、猫が好きなんだ」
「そう」
「だから、君も好きなんだ」
いやいやいや、言っている意味わからないよ?野木クン……
「私は猫じゃな――…」
「猫だよ!特にリリーだ」
まだ言うか、こいつは。
私に恋じゃなくて、リリーに恋してんじゃないのか?
「猫は……リリーは、相当な猫かぶりでさ」
「…は?」
「俺だけの前じゃ、すっげー冷たいの!メスなんだけど、仰向けで白目むいて寝るし。たまにヨダレも出てる。ブラッシングもさせてくれないんだ」
「……………」
その猫と私が似てるって……失礼じゃないか?
「だけど…そこにさ、例えば……俺の友人が登場するわけよ。そしたらなんと!すっげー愛想いい上品な猫に早変わりなんだ!!」
なるほどね。
確かに、それは私だ。
人一倍猫かぶりな私は、特定の人にしか素を見せない。
「…それで?」
「え?」
「リリーが好きな事はよくわかったけど。私はリリーじゃないよ?」
リリーと重ねられて好きになられるなんて、御免だ。
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