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信号待ちをしている時、隣で停まっていたバイク野郎が話し掛けてきた。
「お、悠太じゃん!久しぶり~!」
どうやら野木の友人らしい。
「何、お前車持ってたっけ?」
「買ったんだよ!中古だけどな。いい色してんだろ?」
「………あ、ああ。まぁ、そうだな」
ほら、やっぱダサいんじゃんこの車。
しかし野木は、友人の苦笑いに気付かずに、満足げに頷いている。
「え、あれ?隣に乗ってるのって……」
バイク野郎が、私に気付いた。
私はもちろん、ニッコリと頬笑む。
「どうも♪末永果穂です」
「え、悠太の彼女さん…?」
私と野木の顔を、驚いた顔で交互に見る。
私は野木の手をとって、運転席側に体を乗り出した。
「はい、悠太の彼女で~す!よろしくね♪」
「マジかよ…お前、いつの間に!!しかも俺のめっちゃタイプな子だし!」
…してやったり。
ミス猫かぶり、今日も絶好調だ。
そして絶好調なのは、隣のこいつも同じこと。
「ふっ。お前に果穂は飼いならせねぇよ」
「はぁ?おいそれ、どういう――…」
「おっと。信号が青だ!出発進行~!!」
「お、おい!悠太~!!」
野木の口笛と共に、車は軽快に走りだした。
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