5人が本棚に入れています
本棚に追加
たくさんの木々が覆い繁る森に彼らはいた
灰色のフードをまぶかにかぶりあるく人影があった
傍らには白い狼が歩いている
「そろそろ休まねぇと体もたねぇぞ?」
「あぁっ、次の街についたらそうするさ」
フードの人物は声からして女性……いや…もしかしたら少女かもしれないが…女性独特の声質をしていた
二人(片方は獣だが)はそのまま森を歩き続けた
徐々に森の向こう側に白いものがちらほらと見え始めた
やがて出口に近づくと白いものが壁だということに気付いた
「こりゃまたでけぇ~っ」
大人三人が縦に並んだよりも大きな壁がぐるりと街を囲むようにしてたっている
「一般人ならな…私には無意味だ」
そうつぶやきフードの人物は軽く地面を蹴るとまるで羽がはえているかのように浮かび上がり塀の上に着地した
「って!おいっ!!俺を忘れるなアスカ!」
下では先ほどの人物……アスカと呼ばれた相手に狼が怒鳴っていた
「あぁっ………忘れていた」
「ひでっΣ忘れんじゃねぇっ!」
その場でうなだれしょんぼりとする狼
「悪い…いまあげるから許せ」
アスカがそういうと狼の足元に風が集まりゆっくりと狼を持ち上げる
「うぅっ……俺を忘れるなんてひでぇ」
そう言いながら背後にどんよりと暗い空気を背負う
「悪い…謝るから許してくれ…」
アスカは塀に座ると狼の頭を優しく撫でて抱き締める
「ったく…今度は忘れんなよ?」
渋々といった感じでいってはいるが尻尾をパタパタッ振っているのが見える
「もちろんだ…それじゃあ…白狼いくか?」
アスカは白狼とよんだ狼を離すと街並みを見て微笑みながら問う
「おうっ♪早く宿探すか♪」
上機嫌で尻尾を振りながらこたえる様は犬にしか見えなかった
「クスッ♪先に行くぞ」
「あっおいっ!待てよっ!」
一人と一匹は塀を飛び降りそのまま街へと向かっていった
最初のコメントを投稿しよう!