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麻衣はふと目を覚ました。
窓から差し込む日の光に、部屋は明るく照らされていた。
『…りょーちゃん…』
良牙はいなかった。
麻衣は良牙の携帯に電話をかける…出ない。
家にかける…出ない。
着信もない…
大きな不安が麻衣を襲う、麻衣は涙も出ないほど怯えていた。
どうしていいのかわからなくて、とにかく何度も何度も電話をかけた。
『…お客様のおかけになった電話番号は、電源が入っていないか電波が届かない状態でかかりません…』
震える手で何度も何度も…
『…お客様のおかけになった電話番号は、電源が入っていないか電波が届かない状態でかかりません…』
息が苦しくなる、もう何度かけたかわからない。
『…お客様のおかけになった電話番号は、電源が入っていないか電波が届かない状態でかかりません…』
麻衣が電話を諦めたのは、陽も暮れかけた頃だった。
「きっと急用が出来たんだ。今日も就活に出てるはずだし、バイトもあるし…」
麻衣は『大丈夫、大丈夫』っと自分を宥めた。
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