⛄灯る冬⛄

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  帰りの電車は何故か早足に感じる… あっという間に、昼間待ち合わせた麻衣の地元駅のホームについてしまった🚌 良牙は無言のまま麻衣の手をひいて一緒に電車を降り、2人はホームのベンチに座った。 そして、せきをきるように良牙が言う。   『今日はありがとう🎵ずっごい楽しかった😃』   良牙の爽やかな笑顔を見て麻衣も笑顔で答える。   『うん…』   そしてまた会話が途切れた…       良牙の住む街へ向かう電車がホームに入ってくる、ガタゴトと2人の目の前を過ぎ、静かに止まった。 麻衣は良牙が立ち上がるのを待ったが、良牙は開いた電車の扉を眺めているだけで、立ち上がる素振りはない… そのうちプロロロ~👂っという音と共に扉はしまり、電車は走り去ってしまった。 麻衣はなんだか怖くてドキドキが止まらなかった、長い長い裁判の判決をくだされる囚人の気分だ、緊張の息苦しさを感じながら、麻衣は良牙に言う。   『…電車…行っちゃったねw』   すると良牙は線路に目線を落として静かに答えた。   『うん…いいんだ』   良牙の顔には先程までの爽やかな笑顔はなく、ただ少し微笑んでいて、ただ線路を見ていた。 2人の間には沈黙が流れた…   また次の電車が来る、良牙はピクリともしない… 無言のまま3本の電車を乗り逃がした。 さすがに麻衣は"具合が悪いのかな?"っと心配になってきた。   『…良牙クン…大丈夫?』   良牙の顔を覗き込む、良牙は苦笑いして頭をあげ、髪をかきあげながら照れくさそうに笑って、大きな深呼吸をした。   『良牙クン、やっぱり具合わるい?』   麻衣は、ますます心配になって良牙に少し近付いた。
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