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どうして君がいなくなったのか、どうして君は僕のところにいたのか解らない。
けれども君は、確かに居たんだ。
誰にも見えないし、聞こえない世界で。
静かに沈んだ、夜の世界に。
時折見せる、何かを射るようなギラついた眼差しや、闇よりも深く昏い、背筋の凍えるような微笑も。
今となってはそれこそ夢のように曖昧で。
ただ、夜の中に居ると、君と一緒にいるような気がして泣きそうになるんだ。
僕は君を「よる」と呼んでいた。
誰でもない、人のような感じのしない君の、その空虚感が、ひどくそれに似ていたから。
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