806人が本棚に入れています
本棚に追加
智久side#
『‥ぇ…ねぇ‥‥ねぇってば!』
「ん~…?」
いつも起こしてくれる亮ちゃんの低い声とは違う、少し高くて甘い掠れ気味な声が聞こえたのと同時に体を揺すられる。
『ねぇ!アンタ俺に食べ物くれた人だよね?
俺なんでこんなのになったの!?
アンタなんかした!?』
「んぅ‥‥意味分かんね…」
『ちょっと!起きろよ!!』
「ん~‥」
そんなやり取りを大声で繰り返していると、隣で寝ていた亮ちゃんが起きた。
「ピィ!誰と話してるんか知らんけど、朝からうるさ‥‥‥え?」
『にゃっ!!』
「ちょっ‥お前誰やねん!
見た事ない奴みたいやけど、どうやってここに入ってん!?」
『にゃあああ!やだっ、怖い!』
あまりにもうるさい怒鳴り声と、なぜかにゃあにゃあと叫んでいるけたたましい声に、ようやく目が覚めた。
「もう、うるさ‥‥はぁ?」
目の前には、眉毛を思い切り潜めて睨む亮ちゃんと、亮ちゃんから隠れるようにベッドの隅で丸くなっている、頭から毛布を被って身体を隠す華奢な男がいた。
こいつ誰‥‥‥?
最初のコメントを投稿しよう!