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降りしきる雪の中、愛しいあの人の研究所に向かう
研究所のすぐ隣にある小さな公園を通り過ぎようとしたとき、微かに鳴き声が聞こえた。
「…ネコ?」
『うにゃーっ!』
「ノラネコかな?」
『にゃあ』
「可愛い♪」
汚れてはいるが、本当は真っ白であろう子猫を撫でようと手を伸ばすと、ビクッと体を震わせて逃げようとする。
「なんで逃げんのー?」
『ウゥ~!!!』
「何もしないよ、猫ちゃん?」
『にゃあっ!』
なんで逃げんの…?
「もしかして、人間が怖いの?」
そう問いかけたって、もちろん返事は返ってこない。
「たぶん怖いんだろうな。
俺は何もしないから安心して?」
まだ体をビクビクと震わせている猫を抱き上げようともう一度、手を伸ばした。
『ぅにゃーあっっっ!』
ガリッという音がして、手の甲を引っ掻かれた。
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