幼き日

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「ぜったいかえってくる?」 こすずが聞いた。 「うん、ぜったい帰る。」  こすずはおれの言葉を聞くとおれから貰ったスイショウをぎゅっとにぎった。 「できるだけはやくかえってきてね。」 そんな悲しい顔しないで こすずは悲しい顔なんかにあわない。 「・・・笑って。」 「?」 「おれはこすずの笑顔が一番好きなんだ。笑って・・・そしたらおれも笑って行けるから。」 こすずはぐにぐにと顔を動かして笑顔を作った。 それがすこしおもしろくて、つい吹き出した。 「ひどいよシンヤ~」 「ほら、笑顔笑顔。」 最後の顔が怒り笑いか・・・まぁそれでもいいか。 悲しい顔なんかみたくない。 「またね」     さよならは言いたくなくて、聞きたくもなくて   おれはそれだけ言って走っていった。       また、あいにくるよ。   こすずのそばに戻るよ。     そしたらもうはなれないから。   悲しい顔なんてさせないから         待ってて。        
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