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もう手は届かない。
差し伸べた手はこすずには見えない。
俺はこすずを守ることができない。
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修行先は転々としていた。
査定をし、また引っ越し、また査定をし・・・二階堂家の別荘を渡り歩く生活が続いた。
査定は年に一度行われるのだが・・・俺はこすずと別れてから四回、全て二階堂家を背負うレベルにいたらないと評価された。
年齢からしてはかなりの強さにはなったがまだ足りない。
今日も宿場の庭で修行をしていた。
体力トレーニングを欠かさないせいか最近背がよく伸びる。
最もこすずを守るためには体力だけじゃ駄目なんだがな。
「二階堂！」
「笹島・・・？」
金髪の短い髪をした小柄な少年が俺の肩を叩いた。
少年といっても俺と同じ年、十歳だ。
十歳・・・こすずも十歳か。
「・・・またあの女の事を考えたろ。
やめろやめろ！泣き虫女なんて忘れちまえ。」
「だまれちび。」
金髪、もとい笹島のつむじをごりごりおしてやった。
笹島は昨年から俺と共に修行をしている二階堂家の弟子だ。
他にも何人かいるが笹島が一番図々しく話し掛けてくる。
一応、俺は次期当主なんだがな。
ただ、その図々しさに嫌味が無く今では良き悪友になっている。
俺が話すのはこすずとの思い出ばかりなのだが、泣き止ませたとか慰めたとかばかりで・・・笹島の頭のなかでこすずは相当な泣き虫として印象づけられてるらしい。
「テメーがデカすぎんだよでくのぼう！」
「好き嫌いを無くせばお前もこのくらい軽く伸びる。」
笹島はうぅうぅと獣のようにうなるとおとなしく引き下がった。
「で、また聞こえたのか？」
「あぁ、気のせいだと良いんだが・・・。」
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