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に、さん言葉を交わしている。
こすずが悲しそうに手を見せようとしている。
こすずはきっとはっきり何かが見えているのだろう。
だけど無理だよ。
おれでさえ透けた手にしか見えないんだから・・・
そのこたちには何も見えやしないよ。
こすずは泣きながらおれのもとに帰ってきた。
「みんなね、きもちわるいっていうの。」
「うん。」
「こしゅじゅ、ただ、ゆかちゃんっ・・・ひっく・・・。」
「ゆかちゃん?」
あの手の正体か?
「さっきゆかちゃんがなかまにはいりたいってゆったの。
だからみんなにいったらゆかちゃんいるはずないって、きもちわるいって」
ゆかちゃん・・・あとで調べてみるか。
「大丈夫。こすず、ゆかちゃんなんていなかったことにすればみんなと仲直りできるよ。」
こすずは涙を溢れさせてなお言った。
「いるのに?いないことにするの?!
ゆかちゃんがかわいそうだよ!!」
やさしすぎるよ、こすず。
ゆかちゃんなんていないんだから無視すればいいんだ。
いてはいけないゆかちゃんのことは考えなくていい。
「こすず、おれの眼を見て。」
そう、いいんだ。
おれだけ見てくれたら。
おれが泣いてはれあがった目蓋をそっと撫でると、自然とこすずがこちらを見上げた。
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