幼き日

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「シンヤ?」 こすずが心配そうにおれをのぞきこんだ。 「ん?」 「わたし、シンヤすきだからわたしはシンヤのみかただよ?」 ・・・かくしたつもりだったんだけど。 こすずにはほんとの笑顔かどうかなんて簡単にわかるんだな。 「おれもこすずが大好きだよ。 おれだってこすずをまもってみせるから、ずっとこすずの味方だよ。」 また、そっとなでるとこすずはふにゃふにゃの笑顔でかえしてくれた。       なにがあってもこすずをまもってみせるから・・・               こすずのいなくなったあと、おれは少しでも強くなるために父さんの部屋に向かった。   記憶を消したりまじないをしたり・・・この程度じゃこすずをまもれやしない。 将来どんな魔が襲うかわからないんだ。 こすずの素質じゃ破魔の力はどんなに頑張っても身につけられはしないし、おれがしっかりしなきゃ。 「父さ・・・。」 声が部屋からもれていた。 「じゃあ灰空はどうなるんですか?」 父さんじゃない・・・誰だ? 知った声だけど 「進藤・・・という家に王の器が生まれたらしい。 灰空の汚れた血はすぐに澄むさ。」 父さん、と誰かがはなしてる。 「王の器?意味がわかりませんよ。 だいいちこすずによってくる魔は誰がはらうんですか? 二階堂は灰空を裏切る気ですか!?」 「・・・契約は灰空の血が汚れてる間のみ。 進藤の息子が誕生した今では、灰空にとって二階堂はもはや必要ないのだよ。」 「・・・その進藤さんはどこなんですか?」 「来週引っ越してくる。 私たちとは入れ違いになるな。」     入れ違い? 引っ越し??     おれ・・・聞いてない。
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