幼き日

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「父さん・・・どういうこと?」 我慢できずにおれが割り込むと、父さんともうひとりの男があわてたように座り直した。 「進哉くんじゃないか!」 もうひとりの男はこすずのお父さんか。 灰空鈴音(はいそらすずね)ーー・・・こすずと同じく、魔に好かれる体質だった。 その呪われた血は今、娘であるこすずに受け継がれている。 「もうあなたは二階堂にまもられなくてもいいんでしょ? なんでいるの。」 おれの言葉に鈴音は泣きそうに顔を歪めて父さんに目配せした。   こすずの家、灰空の体質は子供ができると治る。 そのかわり子供が呪われるのだ。 この男はあまりそれを知らなかったらしく、安易に娘を作った。 本来なら二階堂の子供が産まれてから五年は待たなくちゃいけないのにこすずはおれと同じ年にうまれた せめてあと数年あれば…きっともっとちゃんと守れた。こんなに力不足で悩まなくてすんだのに …………はっきりいってあまりすきじゃない。       「進哉、引っ越しの件を聞きたいのだろう? あまり鈴音をいじめてやるな。」 「こすずが必要以上に苦しんでるのは鈴音さんのせいでしょ? 少しくらい苦しめばいいよ。」 さくさくと言い放つと鈴音は急に目の色を変えて凄んだ。 「そう、俺のせいだ。 だからこそ俺にできるすべてをしにきたんだよ。 二階堂さん。引っ越し、もう一度見合わせて頂きたい。」 そうだ、引っ越し 「・・・父さん、引っ越しってどういうこと?おれ、こすずのそばで守るんじゃないの?」   おれと鈴音は静かに父さんの返事を待った。image=62557229.jpg
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