幼き日

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「進哉はうちがどうして灰空をまもるか知っているか?」 「過去におかした罪をつぐなうため、だよね。」 父さんはゆっくり頷いた。 「何の罪か、わかるか?」 細かいことはわからない。 おれが答える前に父さんが口を開いた。 「灰空家に流れる血にはソロモンの魂の欠片が受け継がれているんだ。」 ソロモン? 「昔の偉い王さまだよ。」 父さんはおれの頭をなでた。 子供あつかいはむっときたが、知識がないのは事実だからがまんした。 「王の魂は大きすぎて転生の途中で欠片を落としてしまったんだ。 それが灰空の第一子に受け継がれている。 そんなこともあり、灰空は魔を魅了する力に長け、破魔の力を少しながらもっていた。そして眼力も、だ。 それを妬んだ初代が灰空から力を奪ったのだ。 守ってやる、と騙してな。 以来二階堂は灰空の力を使いながら財を築いてきた。 灰空を守るのは自分達の力の保護とせめてもの償いのためなんだよ。」   初代が・・・そんなことをしていたなんて。 鈴音は知っていたようで、冷静に耳を傾けていた。 そして話を戻した。 「王の器の誕生とはなんのことです。」 「灰空の魔寄せの力を取り込めるタフな精神力と体を持った子供が生まれた・・・いや生まれていたんだよ。 その子は鈴音の娘の一つ年上になるらしい。 二階堂は眼力にかわる力を鍛えた後、器に力を返すことにした。」 「だから守れない、と?」 鈴音は間髪を入れずに責めた。 「器・・・進藤には破魔の力がある。すでに話は通したさ。」 鈴音は少し考えたあとに席を立った。 「それなら問題はないです。 あとは親子でごゆっくり。」 鈴音は柔らかい微笑みを浮かべて帰っていった。   引っ越し・・・修行? 確かにおれは強くなりたい。 だけどそれはこすずのそばにいたいからだ。
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