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それは雪の舞い落ちる冬の夜。
一人の人形師がフラリとその街に現れた。
そんな話を耳にし期待からドクリと心臓の無い胸がなったが自分の今の姿を思い出し落胆した。
『こんにちは!素敵な紳士殿
貴方の願いを叶えましょう!』
風変わりな人形師はなんと私に話かけているようだ。
『僕は旅をしているんだ。人間やいろんなものの願いを叶えたいと思ってる。でもね、知識がたりないんだ。だから僕は今とても君が必要なんだ。』
(貴方は面白い事を仰る。
私のような薄汚れた人形を持ち歩いても人形師の名を汚すだけでしょう。
私も前の主人が亡くなって店に売られましたがなかなか売れずこの有り様です。
どうか他の人形をお探しください)
『いいえ。紳士殿、貴方のように何百年と時を過ごし色々なものを目にしてきた人形は何処を探しても見当たらないでしょう。
僕の手伝いをしてほしいんだ。
僕は紳士殿の願いを叶えるよ。
紳士殿は僕の願いを叶えるんだ。』
(交換条件ですか。
でも悪くはないですね
分かりました。貴方について行きましょう。)
風変わりな人形師はにっこりと微笑み、そっとゴミの山から猫の人形を抱き上げた。
それは人形と人形師が出会った何年も前の話。
[紳士殿の名前はわとそん君!]
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