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『何で…言わなかったの?』
彼女は、ハァと下に深いため息をついて、また俺と目をあわせる
『私が言ったら何て言ってた?』
え?ちゃんと、大丈夫って…
『《大丈夫》って言うだけでしょ?
《ご飯は、後でいいからね》って』
今の何がいけないんだ?
『家事って、後にすればするほど貯まるのよ。
洗濯は早く干してしまわないと乾かなくなっちゃうし、ご飯だって、食べたくない時に作るのは億劫だけど、今やらないと、いつ体調が良くなるかわからない。
もしかしたら、もっと悪くなってるかもしれないと思うと、後でって気にならないの。
待ってるって言われるのは、それだけで苦痛なの。
仕事で毎日掃除ができる訳じゃないから、今日しか出来ないし…。』
そうか。
彼女が何も言わないから、これで、この形でいいんだと思っていたが、彼女なりに頑張ってくれていたんだ。
『私ね、二人で住めば、楽しいことばっかなんだと思ってた…
でも、一人だったらって思うことも多くて…』
俯いて、彼女は俺が一番聞きたくない一言を言った
『…別れたい…かも』
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