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懐かしい、夢を見た。
ずっと昔、俺が保護された施設にいた頃の夢。
とても、懐かしく同時にとても切ない夢。
あの施設を離れて六年になる。少なくてもあの少女がいなくなり、その三年後には俺もその施設を後にしたから、今年はあの約束の年だ。
だから、あんな夢をみたんだろう。
甘く、壊れそうな程儚い約束。
だが、あの約束は当時たった六歳になったばかりの少女にはとてもじゃないが、覚えていないだろう。
いまだ夢に見る俺はかなりロマンチックなのかもしれない。
おもわず、苦笑がこぼれる。
今、あの少女の行方はわからない。
施設の先生にいくら問いただしても教えてはくれなかった。逆にそれが少女の為なのだと諭され、それ以上なにも聞けないまま、俺も今の両親に引き取られた。
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