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「あー。最悪」    その日も、外は朝から雨だった。  六月の半ば。梅雨真っ只中のこの時期に降るなというのも無茶だろうが、四日も続けて降られるとさすがにうんざりする。普段雨が降らない地域だからなおさらだった。  梅雨の雨は質が悪い。蒸したような湿気の多い空気が肌にまとわりついて、ベタつくようで気持ち悪い。  誰もいない放課後の教室で、私は友達を待っていた。することもなく時間つぶしに国語の課題を広げていたけれど、驚くくらいに集中できない。何もやる気が起きないのだ。  けれども外は雨。開け放した窓を見つめても灰色の景色が広がるばかりで、気分はまったく晴れないどころか余計に滅入ってしまう。  私は軽く頭を振って、もう一度プリントに向かった。シャーペンを握りなおすが、生憎芯が出ない。芯、切れてる。 「何これついてない」  なんだか息が詰まる。  私はシャーペンを放りだし、席を立った。ドアを開けて窓の向こうのベランダへと出て、一度深呼吸する。
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