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「もう二時過ぎてんだけど」
ちなみに、待ち合わせの時間は一時だった。
「まぁ……いろいろあって」
「どうせ部活の子としゃべってたんでしょ」
どうやら図星みたいだ。鮎美は何も反論できず、頭の上辺りで縛った赤茶色の髪をいじっている。
彼女はバレー部だった。私はなんの部活にも所属していないから、草むしりのためだけにここへ来たけれど、鮎美は午前中に練習があった。
それが終わる時間に合わせて、わざわざ一番暑い日中に待ち合わせたのに、鮎美にサボられたら意味がない。
「後でジュース奢るからさ」
「やだ、パフェがいい」
「……了解」
私は鮎美を軽く睨んでみせる。
本音を言うと、鮎美に約束をすっぽかされるのは慣れっこなので、それほど腹を立ててはいないんだけど。
何かで穴埋めさえしてもらえれば、それでいいや、とも思う。こんなやり取りしょっちゅうだ。
それから私たちは三○分ほど花壇の草をむしり、最後に如雨露二杯分の水をやって係の仕事を終了した。
「綺麗になったね」
「超疲れたぁ」
「一時間以上も遅れてきたくせに何言ってんの」
「やぁだ、真央ちゃんまだ根に持ってるぅ!」
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