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 けたけたと笑う鮎美には、もうため息しか出ない。 「綺麗さっぱり水に流してあげるから、パフェよろしくね」 「はいよ。いつものファミレス行こ」  鮎美は勢いよく立ち上がり、体操服のポケットに手をやった。瞬間「あっ」と声をあげる。 「何?」 「やべースプレー部室に忘れた。ちょっと取ってくる」  言うや否や、ひょいっと花壇の囲いを飛び越えて校舎の中に走っていってしまう。  あっという間だった。こっちが反応を返す隙もない。先ほど部活を終えたばかりでさらにはこの炎天下の中、あの軽やかさはすごい。  素直に感心しつつ、私は雑草を詰めたビニール袋を持って、校舎の裏手にまわった。この袋を焼却炉の前のゴミ捨て場に持っていけば、栽培委員の仕事は終わる。本当だったら草むしりに遅れてきた鮎美に任せたかったけれど、鮎美が戻ってくるのをただ待つだけというのもつまらない。  そんなことを考えていた時だった。 「ねえ、はっきりしてよ!」  突然女の子の怒鳴り声が聞こえ、私は驚いて足を止めた。 「もういいよ、直とは別れる!」  言葉は一方的に切れ、代わりに聞こえたのは足音だ。
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