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「はいはい、何?どうしたの。」
いつもより細目にドアを開けるのは、きっと子猫の返却を警戒しているのだろう。
しかし、こちらはそれどころではない。
「お、大家さん、この猫、怒ってますよ~。」
半泣きで肩から猫を引きはがし、私は大家さんに猫を差し出す。
老眼鏡の奥の目がゆっくり瞬きして、私と子猫を見比べる。
それからまたドアが閉められた。
「ちょっと!大家さんっ」
逃がしてなるかと慌てて玄関に上がると、大家さんは一冊の本を手に戻ってきた。
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