♥凹凸

2/4
前へ
/13ページ
次へ
天気は生憎の雨。だが昨日のことを思い出すと、雨すらダイヤモンドに見えてしまう。心は爽快の晴れ模様だ。 杵島夏輝、17歳。私立清済高校に通う高校2年生。彼女無し。性格は普通だと思う。 最近はSNS『ぴたとも』にハマっている。実は昨日始めたばかりだが、『リオ』との運命的な出会いによって、ハマらざるをえなくなったのだ。青春万歳。 学校に到着した僕は、リオと待ち合わせをしている場所へ一直線に向かった。胸が高鳴る。 薄暗い廊下を歩きながら、思わず微笑んだ。 僕のクラスからもリオのクラスからも遠いここは、密会にはうってつけだろう。 1歩進んで半歩下がる、を繰り返しながら歩いていると、背後から声がした。 透き通った、高い声が廊下に響く。 「ナツキ?」 振り向いた僕は、それがリオだと一瞬で分かった。 アバターとそっくりだなあ、と心の中で呟いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加